SANハードウェアスナップショットの使用
VMware vSphereでストレージエリアネットワーク(SAN)ストレージシステムをデータストアとして使用する場合は、エージェントfor VMware(Windows)を有効にして、バックアップの実行時にSANハードウェアスナップショットを使用できます。
NetApp SANストレージのみサポートされています。
SANハードウェアスナップショットを使用する理由
一貫性のあるバックアップを作成するためには、エージェントfor VMwareに仮想コンピュータスナップショットが必要です。エージェントは仮想ディスクの内容をスナップショットから読み込むので、スナップショットはバックアップ処理中を通して保持される必要があります。
エージェントはデフォルトで、ESXiホストによって作成さたネイティブVMwareスナップショットを使用します。スナップショットが保持されている間、仮想ディスクファイルは読み取り専用状態にあり、ホストはディスクの変更内容をすべて別個のデルタファイルに書き込みます。バックアップ処理が完了すると、ホストはスナップショットを削除します。言い換えると、デルタファイルを仮想ディスクファイルと結合します。
スナップショットの維持と削除はどちらも仮想コンピュータのパフォーマンスを左右します。仮想ディスクが大きく、データの変更が速いと、処理に時間がかかり、その間のパフォーマンスが低下することがあります。極端な例として、複数のコンピュータのバックアップを同時に実行すると、増大するデルタファイルがデータストアをほぼ専有してしまい、仮想コンピュータの電源がすべてオフになる可能性があります。
ハイパーバイザのリソース利用率は、スナップショットをSANに移すことで削減できます。この場合、一連の処理は次のようになります。
- 仮想ディスクを整合性のとれた状態にするために、バックアップ処理の冒頭でESXiによってVMwareスナップショットが作成されます。
- SANによって、仮想コンピュータとそのVMwareスナップショットを含むボリュームまたはLUNのハードウェアスナップショットが作成されます。普通、この処理にかかる時間は数秒です。
- ESXiによってVMwareスナップショットが削除されます。エージェントfor VMwareが仮想ディスクの内容をSANハードウェアスナップショットから読み込みます。
VMwareスナップショットは数秒しか維持されないので、仮想コンピュータのパフォーマンス低下は最小限に抑えられます。
SANハードウェアスナップショットを使用するために必要なもの
仮想コンピュータのバックアップを実行する際にSANハードウェアスナップショットを使用する場合は、次のすべてに該当することを確認します。
- NetApp SANストレージが「NetApp SANストレージ要件」に記載されている要件を満たしている。
- エージェントfor VMware(Windows)を実行しているコンピュータが「エージェントfor VMwareを実行しているマシンの設定」の説明に沿って構成されている。
- SANストレージがManagement Serverに登録されている。
- (上記の登録に含まれなかったエージェントfor VMwareがある場合)SANストレージ上に存在する仮想コンピュータが、「仮想コンピュータのバインド」の説明に沿ってSAN対応エージェントに割り当てられている。
- [SANハードウェアスナップショット] バックアップオプションがバックアップ計画で有効になっている。